DIY太陽光発電で電気代節約は可能なのか?グリッドタイインバーター&バッテリーを活用したピークシフト設備を構築して検証
電力を発生させるシステムの一つとして活用される太陽光発電。
ソーラー発電(Solar Power Generation)や、PV(Photovoltaic:フォトボルタイク)なんて呼ばれたりしますね。
そんな太陽光発電ですが、小規模であれば比較的費用を抑えつつ、関連機器を揃えれば個人でも構築することができます。
身近に降り注いでいる太陽の光エネルギーを電力に変えられるということで、私は、せっかくなので活用して電気代節約に繋げたいと思い、可能な限りセールやポイント・クーポン利用、フリマサイトも活用して費用を抑えながら必要機器を揃えてDIY太陽光発電を始めました。
記事中でも説明しますが、発電した電力をそのまま屋内の電気設備に流せるといった「グリッドタイインバーター(以降、GTI)」と呼ばれる個人的に興味深い機器を使っています。
また、最近の電力会社の契約プランには、深夜帯の料金単価が安いというプランがあり、私の契約しているプランもこのタイプなので太陽光発電で賄えない部分を、この深夜帯料金を利用してバッテリーに蓄電しておき、日中に使用するという設備を合わせて構築しました。
いわゆるピークシフト的なことですね。
勝手にピークシフトソーラーなんて呼んでます。
本記事では、この設備で電気代節約を実現できるのかどうか、DIY太陽光発電をするために入手した機器や費用、構築方法、発電状況などを紹介します。
可能な限り構築するうえで工作や加工の必要がない方向でできるようにしました。
太陽光発電設備の概要
構築したのがこれです↓
機器や配線がゴチャゴチャ、ガヤガヤと騒がしいですね~
構築などとたいそうなことを言ってますが、必要機器を揃えて所定の配線をすれば可能なのです。色々検証しながら作っているので、設置や配線のゴチャつきや不格好なのは気にしないでください(汗)
画像のテーブルなんかは、壊れて使わなくなったコタツテーブルですよ。。。
後々、ラックなど専用の置き場なんかも作るかもしれません。
これできちんと稼働しています。
ということで簡単な図にしました。
ソーラーパネルで発電した電力がチャージコントローラーを介してバッテリーに充電、もしくはGTIを通してコンセントに供給されます。電気料金単価の高い日中はパネルからの発電とバッテリーに蓄電した電力を優先して利用(放電)し、電気料金単価の安い時間帯には充電器でバッテリーを充電します。
GTIや充電器が稼働する時間帯はデジタルタイマーによりプログラムし、稼働時間帯でも充放電し過ぎないようある閾値に達すると停止するよう設定します。
本記事で紹介するGTIには、どれくらいの電力を流し込むか調整できる機能があり、電流(CT)センサにより計測した電力量を元に制御されます。
以上が簡単な流れです。
では詳しく見ていきましょう。
購入機器と費用
購入機器一覧
今回のピークシフトソーラーを構築するために購入した機器です。金額は端数処理していますのでおよそです。機器の寿命は、トータルで見る節電効果に大きく影響します。安く購入できてもすぐに故障しては意味がありません。ここで紹介する機器は、私が個人的にコスパが良さそうなものを選んではいますが、長期的に使ってみないと実際にはわからないので、購入を考えている方は色々検討してみてください。
【太陽光発電】
機器名 | 金額 | 備考 |
ソーラーパネル 255W×2 @5,500円 | 11,000円 | 中古 |
24V 100Ah BMS内蔵バッテリーパック (リン酸鉄リチウムイオン:LifePo4) | 76,900円 | |
チャージコントローラー | 16,000円 | |
GTI(グリッドタイインバーター) | 35,600円 | |
電流センサ 20m Limiter Sensor | 6,300円 | (★) |
PVケーブル10M | 3,300円 | |
ソーラーパネル並列接続用コネクタ Y型 | 1,500円 | |
MC4コネクタ型逆流防止ダイオード15A | 2,700円 | |
デジタルタイマー×2 (オーム電機 HS-APT71 @1,600円/REVEX PT70DW @1,700円) | 3,300円 | |
電源プラグ 3ピン 2ピン 変換プラグ | 300円 | 中古 |
固定金具類 | 5,700円 |
【データ計測機器】
機器名 | 金額 | 備考 |
Bluetoothワットチェッカー | 6,000円 | 中古 |
ワットモニター | 2,680円 | (★) |
【電気工具類&備品】
機器名 | 金額 | 備考 |
デジタルテスター | 500円 | (★) |
交流デジタルクランプメーター | 3,000円 | (★) |
結束バンド インシュロック | 100円 | (★) |
ロープ 10M | 500円 | (★) |
合計で、「175,380円」です。 中古で代用したりキャンペーンやセールを狙って購入しました。
私はポイントやクーポンの利用、フリマサイトを活用していることもあり、さらに40,000円ほど安く購入することができているので大体136,000円で構築できたことになります。
(★)マークは、私の構築環境上、必要だったりあった方が便利と思って購入したものなので実際には無くても大丈夫です。
→メルカリで探す
追加情報が必要であろう下記機器をそれぞれ詳しく確認していきます。
・ソーラーパネル 255W
・24V 100Ah BMS内蔵バッテリーパック
・チャージコントローラー
・GTI(グリッドタイインバーター)
・PVケーブル10M
・ソーラーパネル並列接続用コネクタ Y型
・MC4コネクタ型逆流防止ダイオード15A
・デジタルタイマー×2
・Bluetoothワットチェッカー
・ワットモニター
ソーラーパネル 255W×2
フリマサイトで購入。
同じくしてDIYで太陽光発電をしている方から、パネルの取り外しや置き換えなどで不用になったものを中古として購入しました。
通常だとパネル裏側に仕様がステッカーなどで表記されているのですが、出品者使用時に剥がれてしまったようですが、以下の通りとのことでした。型式で検索しても出てきます。
型式 | GSPP255(多結晶) |
製造者(メーカー) | グットマンソーラー |
公称最大出力(Maximum Output) Pmax | 255W |
公称開放電圧(Open Circuit Voltage) Voc | 37.4V |
公称短絡電流(Nominal Short Circuit Current) Isc | 9.05A |
公称最大出力動作電圧(Maximum Output Voltage) Vmp | 30.5V |
公称最大出力動作電流(Maximum Output Current) Imp | 8.38A |
最大システム電圧(Maximum System Voltage) | 1000V |
公称質量(Mass) | 19.5kg |
バイパスダイオード | 有 |
サイズ 幅×高さ×厚さ | 992mm×1640mm×40mm |
コネクタ形状 | MC4 |
これを2台並列(255W×2=510W)で設置しました。
並列にしたのは後のチャージコントローラーの仕様に関係するのですが、パネルが発電する時、その出力が最大化となる電圧や電流を自動で最適化するMPPT方式を採用しており、その動作電圧範囲(バッテリー電圧+2V~72V)を意識したためです。今回はバッテリー電圧24Vを使用するので「26V~72V」に収まれば良いということになります。
電気的性質として、並列は電流が2倍になり全体の出力は2倍になりますが電圧は変わらないという特徴があります。直列はその逆で電流は変わらず電圧が2倍になります。このパネルの動作電圧が30.5Vなので並列ということで同じ電圧であり範囲内に収まります。
実際のところ、直列にして電圧が2倍(30.5V×2=61V)になっても範囲内なのでどちらでも大丈夫なのですが、以前まで出力の小さいもので色々検証していたこともあり、電圧を高めるために直列ばっかりだったので、並列も試したいと考え並列にすることにしました。
24V 100Ah BMS内蔵バッテリーパック(リン酸鉄リチウムイオン:LifePo4)
Aliexpressで購入。
BMS(Battery Management System:バッテリーマネジメントシステム)を内蔵しています。カバーを開けると、中に3.2Vのバッテリーセルが8個とBMSが入っています。私が購入したものには充電器も標準で付属していて、プラス端子とマイナス端子の他に充電専用ポートもついているのでケーブルの取り回しがしやすいのもあり、まとまっていて便利なのでこれを選びました。
12Vバッテリーの方が安価なのですが、電圧高めの方がケーブルを流れる電流を少なくできるのに加え、送電ロスが抑えられるという観点から予算の許す範囲で24Vにしました。
より高い電圧のものもありますが、大きさや重量、価格が高くなります。
BMSには以下の機能があり、バッテリー状態の最適化をする役割があります。
・セルの過充電、過放電防止
・セルの温度管理
・セル電圧の均等化(セルバランス)
・電池残量(SOC)の算出
内蔵しているBMSはBluetoothによりDalyの専用アプリ「SMART BMS」で設定値を管理できます。
アプリを開くと現在のバッテリー状態の確認ページが表示されます。
電池残量(SOC)や現在の充放電状況、各セルの電圧など確認できます。
残念ながら充電状態なのか放電状態なのかが表示されないようで、SOCメーターの右下にある「current」の値がマイナス表記かどうかで判定するしかありません。「〇.〇A」なら充電中、「-〇.〇A」だと放電中といった具合です。
ページ右下の「Parameter Settings」をタップすると設定値を編集できるページが表示されます。
「Protection parameters」:過放電、過充電防止の閾値設定
「Cell characteristics」:バッテリーの性質、容量の設定
「Cell characteristics」が実はクセモノで、初期値では正常に動きませんでした。当初そのまま使った際、電池容量の割に短時間の充電でSOCが100%になり、放電量が小さいにもかかわらず驚くほどSOCが減りました。
調べるとこのページの設置値に誤りがあるとわかりました。
設定変更は「enter」の入力欄に数値を入れて「Set」をタップするだけです。パスワード入力を促されるので、「123456」(初期パスワード)を入力します。反映されるまで数秒のラグがあります。
まず「rated capacity」。使用する電池容量に合わせる必要があります。本記事で使用するバッテリーの場合だと100Ah。
次に、「SOC set」。SOCは、rated capacityの設定値と流れた電流を元に算出されるようでした。
なので、いったん満充電にした状態でこの「SOC set」を100%にする必要がありました。満充電の状態で電池残量であるSOCが100%であると指定しないといけません。
その他、設定必須ではないですが「sleep waiting time」について。
バッテリーが稼働していない時にBMSがスリープ状態に入るまでの時間(秒)です。スリープ状態に入ってしまうと都度バッテリーを動かさないとBMSにアクセスできなくなります。
スリープの発動が煩わしい場合は、値を「65535」にするとスリープ無効となります。
後のページはバッテリー構成変更や温度管理、充放電の有効無効化、リセット関連の設定です。初期値でも大丈夫でした。
チャージコントローラー
Aliexpressで購入。
Epeverのチャージコントローラー「Tracer」は、扱える電流や電圧が異なるシリーズがあります。GTI容量と合わせる形でソーラーパネル出力1000W程度(電流上限40A)まで扱える「4210AN」を選びました。
WiFi経由で状況を監視できるWiFiモニタ「eBox-WIFI-01」もオプションでつけています。
ソーラーパネルの発電は、天候などにより電圧が常時変動しており、不安定な電圧のまま直接バッテリーに充電することはできません。そこでチャージコントローラーを介することで電圧を安定させ、バッテリー充電に適した状態に変換して充電するといった役割を果たします。
所定のポートにケーブルを接続すれば自動で認識してくれるため、特に設定は必要ありません。
本体のイラスト通りに、ソーラーパネルからのケーブルと、バッテリーへのケーブルをプラス、マイナス正しく接続しないと動きません。右端の負荷ポートに接続する場合は、ライトなど低負荷のものを接続する方が無難でしょう。
ここで注意です。購入機器の付属品にはチャージコントローラーからバッテリーへのケーブルは無いので別途用意する必要があります。私は、別途購入した10MのPVケーブルの長さに余裕があるので、一部切り取ることにしました。この場合は、被膜を剥いて端子の長さに調整しないといけません。
バッテリー端子のサイズ(M8)に合う圧着端子を別途入手できたので使用しました。加工は可能な限り少なくと考えていますが、圧着端子があった方が取り回しや接続が容易で確実なのでつけました。
無い場合は、端子に巻きつける形でも可能です。
私も元々サイズに合う圧着端子が無かったので、入手するまでは巻き付けていました。
WiFi経由でEpeverの専用アプリ「ChargeController(Li)」で状況確認ができます。Epeverのサイトから対応する端末にapkファイルをダウンロードして実行するとインストールが完了します。
(androidタブレットを使用しているのでandroid用のファイルをダウンロードしています)
まず、チャージコントローラーのCOMポートとeBox-WIFI-01を付属のLANケーブルで接続し通電します。その後、WiFiが使える端末のネットワーク設定から、「eBox-WIFI-01_xxxxxx」がアクセスポイントとして接続できるようになっているので接続します。
通常だとインターネットに繋がったルーターのアクセスポイントに接続していると思いますが、WiFiモニタに接続する場合は切り替える必要があるため、ルーターのアクセスポイントに接続しなおすまでインターネットは使えなくなります。
接続ができれば先ほどインストールした専用アプリを開きます。「WIFI」か「BLE」(Bluetooth)が促されますので「WIFI」を選びます。正常に接続できれば「Device Connected」と表示されますので、そのまま画面をもう一度タップするとトップページが表示されます。
トップページからリアルタイム状況、デバイス設定、バッテリー設定、負荷設定ができます。「Read」をタップすると現在の状態を読み込みます。実はこれが手間なのですが、接続するたびに毎回「Read」する必要があります。もし、各ページで設定変更した場合は、「Send」をタップして反映させることができます。
■リアルタイム状況「Real Time Monitorin」
現在のソーラーパネル発電状況、バッテリー状況、負荷状況(接続していないので全て0)が確認できます。
ちなみに後で紹介するソーラーパネル発電量のデータは、このSolar Panelの「Total Energy Generated」から取っています。
■デバイス設定「Device Settings」
デバイスバージョンを確認したり、時刻設定、負荷ポートの通電テストなどができます。
■バッテリー設定「Battery Settings」
バッテリーに関する各種設定ができます。ですが、仕様が固定されているのか自動化されているのかわかりませんが、アプリでは「Standard」、「Advanced」タブ共に全ての値が固定されていて変更できませんでした。
■負荷設定「Load Settings」
負荷ポートの有効化、無効化の設定ができます。私は負荷ポートの使用予定はないので「OFF」にしました。
GTI(グリッドタイインバーター)
Aliexpressで購入。
給電量の制御に必要な電流(CT)センサとWiFi経由で状況を監視できる「WiFiプラグ」もオプションでつけています。対応電圧に種類があるので、購入する際は入出力の電圧に気をつけてください。
GTIは直流電源を交流100V電源に変換し、1000Wまでコンセント(屋内系統電力)に流れている電流と同期して電力を供給します。
これは電力を逆潮流させることにつながり、屋内の家電製品などの負荷で使いきれなかった電力が外部へ流出してしまうことが懸念されますが、オプションの電流センサを配電盤に組み込むことで屋内の系統電力の使用電力範囲内で供給制限することが可能になります。
電流センサは、GTIと配電盤(ブレーカー)が届く必要がります。オプションのセンサは長さが3mほどですが、私の環境ではGTIを置けるところから配電盤まで階をまたいだりと3mだと全く届かないので別途20mのセンサを購入しました。オプションは予備にしています。
配電盤に取り付けた電流センサの様子です。配電盤には電力が集約されていてとても危険なので取り付ける際には、感電に最大限注意してください。主幹のブレーカーを落としてから取り付ける方が無難です。
クランプセンサですので、片側を外して電線を挟んでパチッと閉めるだけです。このセンサのケーブルは配電盤を抜けて、GTIの電流センサ接続ポートに繋がっています。
また、赤枠のブレーカー配下にピークシフトソーラーの設備が接続してあります。なのでこのブレーカーを落とすと全て停止してしまいます。
このブレーカー配下に構築したのは、設備を置くスペースがあるのはこの配下の部屋ということと、別の記事で紹介していますが、私は仕事の関係上自販機置いて運営をしており、その電源がこのブレーカー配下にあるので、自販機の電気代を優先的に減らすことも狙いとしています。
GTIを接続しているブレーカーが属する電圧線にセンサを取り付ける必要があります。画像の場合は赤線ですが、GTIが下の黒線のいずれかのブレーカー配下に接続しているのであればセンサを黒線に取り付けることになります。
というのも、一般的な家庭では単相3線式という方式で電力が来ており、電圧の取り方が異なります。電流センサはクランプした電圧線からのみ電力を読み取るので、GTIが属する電圧線と、クランプしたセンサの電圧線が異なるとGTIは正常な電力の読み取りができなくなります。
つまり、今回購入したGTIはどちらかの電圧線だけにしか電力供給できません。もし、両方の電圧線にも電力供給をして全ての消費電力量をGTIでまかなうには、もう一方にも同様のGTIが必要になります。試していないのでわかりませんが、GTI2台構成でもバッテリーは共有できるかもしれません。
200Vには対応していないので、200V製品もGTIするには、200Vに対応しているGTIを用意する必要があります。
次に本体を確認してみましょう。
中央の画面で設定や現在の状況が確認できます。
現在状況画面ではリアルタイムのデータが確認でき、中央の数字が出力電力、パネルアイコンの数字が入力電圧(今回の場合、入力元はバッテリーなのでバッテリーの電圧が表示されている)、コンセントアイコンの数字上側が系統電力の電圧、下側が電流センサが配電盤から読みとった系統電力に流れている消費電力、つまり電力会社から購入している電力です。GTIはこの消費電力が限りなく0になるよう動作しますが、電流センサを付けていない場合は表示されません。
電力会社から購入している電力とGTIからの給電とで打ち消し合うイメージですね。
購入電力よりGTI出力の方が多ければ、電流センサが示す消費電力が0付近ということになるので、その系統内の消費電力は全てGTIでまかなえているということになります。
私は、GTI本体の負担軽減のため出力制限として「300W」を意図的に設定しています。GTI設定画面の画像の赤枠部分で指定します。
画像の場合、消費電力がまだ180W発生していますが、出力制限により300W程度の出力になっています。
WiFiプラグについても少し触れておきましょう。
GTIの使用自体には無くても大丈夫ですが、アカウントなどの作成が必要ではあるもののWiFiプラグを使用すれば専用アプリ「SmartClient」を用いてクラウド上で状況確認ができるようになるのでつけました。
ちなみに後で紹介するGTI給電量のデータは、当日の「Daily(kWh)」から取っています。
PVケーブル10M
楽天市場で購入。
ソーラーパネルに元々ついているケーブルは2mくらいしかないので取り回しが難しく、屋内まで引き込むのに延長は必須です。H-CVケーブルが太陽光発電には一般的のようなのでこちらにしました。容量の大きいパネルを構成する場合は、もう少し太いものにする必要があります。
ソーラーパネル並列接続用コネクタ Y型
au Payマーケットで購入。私が購入したお店は無くなっていましたが、いろんなサイトで販売しているものです。
私は2台のパネルを並列にするので分岐は2つですが、構成するパネル台数により分岐数を増やす必要があります。
接続した時の様子はこちら。
色が同じなのでわかりにくいかもしれませんが、赤枠部分が後述のMC4コネクタ型逆流防止ダイオードです。
MC4コネクタ型逆流防止ダイオード15A
楽天市場で購入。私はRENOGYのものを購入しました。
電流は電圧差があると、電圧の高い方から低い方へと流れる性質があります。ソーラーパネルを並列にする場合、片方のパネルだけ影で遮られたり故障したりすると、そちら側のパネル電圧が下がってしまい、パネル電圧の低い方へと逆流してしまう可能性があります。
そこで、上記を防止するのがこの「逆流防止ダイオード付きコネクタ」。一方向しか電流が流れないようにします。各パネルから出ているケーブルの+側に装着するだけです。
電圧差がわずかであれば、そこまで逆流を気にしなくてよいという情報も見かけるのですが、私は念のために装着しました。
デジタルタイマー×2
オーム電機の「HS-APT71」と、REVEXの「PT70DW」の2種類のデジタルタイマーを購入しました。
au Payマーケットで購入。 私が購入したお店は無くなっていましたが、いろんなサイトで販売しているものです。 1分単位で曜日、時、分をプログラムでき、ON/OFF1セットで16プログラムまで設定可能。
画像は毎日10:00~17:00に通電するようGTIの稼働時間として設定(プログラム1にON:10:00、OFF:17:00)したものです。この時間内に画像取得したので、左下の通電ランプが点灯している状態です。
参考までにパッケージも載せておきます。
楽天市場で購入。1分単位で曜日、時、分をプログラムでき、ON/OFF1セットで14プログラムまで設定可能。
画像は毎日00:00~06:00に通電するようバッテリー充電器の稼働時間として設定(プログラム1にON:00:00、OFF:6:00)したものです。この時間外に画像取得したので、通電ランプが消灯している状態です。タイマーの後ろについているものは、後述の消費電力量を計測する機器です。
参考までにパッケージも載せておきます。
大まかな機能はほとんど同じですが、違うタイプのものを使いたかったという興味だけなのでどちらでも大丈夫です。「PT70DW」は、プログラムしたタイマーを記憶させながらも、有効/無効を切り替えられるので個人的にはこちらが使い勝手が良かったです。
冒頭でも述べましたが、GTIが稼働する時間帯(HS-APT71)、バッテリー充電器が稼働する時間帯(PT70DW)をこれらのデジタルタイマーでコントロールしています。画像の黄色いケーブルはコンセントからの延長です。
Bluetoothワットチェッカー
フリマサイトで購入。
電化製品などとコンセントとの間にかませるだけで消費電力を測定できます。「REX-BTWATTCH1」はBluetoothを搭載しているので、離れた場所から消費電力をリアルタイムで確認できたり、一定期間に測定された累計データが本体に保存されるので、そのデータを元にグラフ表示したり、csvファイルとして保存することも可能。
遠隔での画面表示には、 専用アプリ「BTWATTCH」 を使用します。Android版、iOS版の他、Windows PC用も用意されていました。専用アプリでは、下記のようにリアルタイム、1時間、1日、1ヶ月それぞれのグラフが表示され、下部の横スクロールバーで過去のデータなんかも見られます。
私は先述のデジタルタイマーと組み合わせて、接続した機器が稼働している時間帯の消費電力量を記録するために使っており、本記事ではこの1日グラフの消費電力量-合計をバッテリー充電量のデータとしてしています。
タイマーで設定した0:00~6:00に消費電力量が計測されているのが確認できますね。
ワットモニター
楽天市場で購入。
このサンワサプライのワットモニター「TAP-TST8N」は、すごくシンプルで上述のワットチェッカー同様、電化製品などを間にかませることで消費電力が測定できるのですが、累積消費電力量は確認できるものの過去データの保存や、遠隔での確認などはできません。画面上でリアルタイムのデータが表示されるのみです。
本記事で紹介する構成においては無くても大丈夫なのですが、特徴として逆流でも計測できてしまいます。通常ワットチェッカーなど消費電力を計測する機器は、コンセントから家電製品などに流れる電流を元に算出されますが、電流の向きを検出しているためなのか逆の場合は計測できません。
このTAP-TST8Nは、シンプルであるがゆえに家電製品からコンセントに流れた場合でも測定可能、つまり今回の構成であるGTIとコンセントの間に接続することで、GTIからコンセントに向けて流れた電力量を計測することができるのです。
発電状況
料金単価
電気代を考えるうえで重要な料金単価ですが、私の環境では時間帯により単価が異なるプランです。2022年1月19日確認時点のプランなのですが、値上げが発表されているので今後の単価は変わってきます。
あくまで単価だけで考えており基本料などに関しては割愛します。
デイタイムの「夏季」とは毎年7月1日~9月30日の期間で、その他の期間は「その他季」です。
本記事で言うピークシフトとは、ナイトタイムでバッテリー充電を行い、デイタイムで使用(放電)することです。日中はソーラーパネル発電による充電も併用します。
休日扱い日にはデイタイムがありませんが、今回のデジタルタイマーでは曜日指定はできるものの、月により変動する祝日までは管理できないので、毎日同じ動作をプログラムするという方向にしています。ナイトタイムはあるのでピークシフトすることは可能です。
取得データから見た発電状況
では、実際どのような発電状況なのか、取れる範囲でデータ取っていますので稼働状況を見てみましょう。
下記は2ヶ月分のデータです。
PV | ソーラーパネルからの発電量 →オプションで購入したWiFiモニタで計測。 WiFiモニタの仕様上、日々リセットされるため、 累積値から前日の累積値を引くことにより当日データを算出 |
夜間充電 | 料金単価の安くなる深夜時間帯で充電した量 →充電量を示すデータが無いため、夜間充電の値は 消費電力計測機器のBluetoothワットチェッカー(REX-BTWATTCH1)で計測。 |
GTI給電 | GTIからコンセント(屋内系統電力)に供給した電力量 →オプションのWiFiプラグで計測。 |
節電金額 | GTI給電量の範囲内で、通常料金とピークシフトした場合との比較で節電できた料金 →本来かかる電気料金とピークシフトした電気料金との差額。 PV量の電気料金は0円、充電ロスや変換ロスは無いものとし、 【[GTI給電量×デイタイム料金] – [(GTI給電量-PV量)×ナイトタイム料金]】で算出。 |
パネル発電とバッテリーを併用しているので、充電量よりGTI給電の方が多くなってくれるかと思ったのですが、そうではないようですね。計測ツールがバラバラなので誤差や充電時のロスなどの影響もあると考えられます。大きな差が出ない限りは、料金単価の差で節電に繋がるので現状では問題ありません。
どれくらい差がでてしまうと効果が無いかと言うと、デイタイム(その他季)が「31.77円」、ナイトタイムは「10.70円」と約3倍の差があるということは、ナイトタイムでデイタイムの使用量の3倍を使っても料金は同じということになりますので、ナイトタイムの使用量がデイタイムの3倍以上に膨れ上がるのであれば、ピークシフトしても効果はないということになります。
節電できた料金は下記の通り。
1月:892.1円(1日あたり892.1÷31日=約28円)
2月:886.7円(1日あたり886.7÷28日=約31円)
2ヶ月分だけのデータではありますが、1ヶ月あたり900円近い程度の節電ができるという結果になりました。
購入した機器の合計金額が「175,380円」なので、初期費用回収まで少なくとも約197ヶ月(175,380円÷886.7円)、約16.4年かかる計算になります。
先は長いですね。。。
今回計測した時期が冬場なので、春季になれば日照り時間も増えて、もう少し発電量も増えると思います。また、あくまで機器の故障が無い場合ですのでご注意ください。
もちろん発電量は天候に左右されますので、天候が良ければ回収が早まりますし、くもりや雨が続けば遅くなります。後は、よりパネル容量を増やすか、機器容量の増設を検討するかですね。
グラフから見た使用状況
契約しているプランには公式の専用サイトがあり、グラフ化された使用量を確認することができます。ピークシフトする前と後の、ある日を比較してみました。
極力、電気の使い方に大きな差が無い日を選びましたが、使用量に応じて自動的にグラフ化されるので縦軸が揃っていないので注意してください。数字を見るとデイタイム使用量が少なくなり、ナイトタイムが増えているのが確認できるのでピークシフトできています。
デイタイムの時間帯でまだ使用量があるのは、GTIではまかないきれない消費があったことに加え、購入機器のGTIの章で解説した通り、2種類の電圧線(赤線と黒線)の内、黒線側(GTIを接続していない方)に発生した電力にはGTIが機能しないためです。
ナイトタイムの時間帯には、今回の設備以外にもタイマーで動くものがあるのでバラつきがあります。
発電状況(改)逆流防止ダイオードに不具合発覚
逆流防止ダイオードの不具合
太陽光発電は天候にも左右されることに加えケーブル抵抗などの送電ロスや変換ロスなどで、パネル出力より少ない発電量になるのが一般的です。これらのロスは「損失係数」と呼び、大体パネル出力の10~20%程度という情報が多い印象です。もちろん色々な要因により変動します。
実際発電システムを稼働してしばらく様子をみてみましたが、これらのロスを踏まえたうえで想定してたよりも40~50%程度も少ない発電量でした。発電量の目安について色々と調べてみてもどうも発電量が少なすぎるように思い、改めてシステムを見直してみました。
すると、なんと2つの逆流防止ダイオードの内1つが機能していないことが判明しました。
簡単なイラストにすると以下画像の赤枠の部分です。
各パネルの電圧差により他パネルへの逆流を防ぐ逆流防止ダイオードですが、この1つが正常に電流を流していなかったようです。この時、不具合のある逆流防止ダイオードだけ熱が生じておりました。
持てないほどではありませんが、もう一方に比べると全然違いました。
元々なのかいつからかはわかりませんが、色々検証のため付け替えを繰り返していたので、いつの間にか故障してしまったのでしょう。
逆流防止ダイオードが原因とわかったのは以下のテストによるものです。
別環境にはなるのですが、とある晴れの日にこの逆流防止ダイオード有り無しでテストしてみました。
左が逆流防止ダイオード有りで右が無しです。
明らかに流れる電流が変わりました。ほぼ2倍です。
2倍ということなので、ずっと片方のパネルからの電流が抑えられていたという結果に。
なんたることでしょう。。。( ´∵`)
この数値だと想定していた発電量に届くことになります。
今後、逆流防止ダイオードを使うか使わないかということにはなりますが、しばらく使わない方向で様子を見ることにしました。
逆流防止ダイオードは、パネルを並列につなぐ場合の電圧差による他パネルへの影響防止として使用しますが、今回のシステムで使用しているパネルは全て同じ仕様(全て同じ電圧)のパネルを使っており、太陽の傾きで変化する影の影響も無いところに設置しているため、基本的には電圧差がほぼ無く、念のためにつけているものなので無くても稼働します。
※セルの不具合により1つのパネルだけが出力低下する場合などもありますので、今後つけた方がよさそうなのであればつける予定です。
発電状況見直し
不具合を解消し、発電量が復活しました。
先述の発電状況の計算は、発電量が抑制されていた状態のものなので改めて計算してみます。発電量が復活したのはすでに実績値をまとめた後なので、この計算は実績ではなくあくまで正常な発電状況のデータとして置き換えた仮の計算です。
復活後の発電量は約2倍だったので、再計算としてはシンプルに計算式はそのままで前述の発電状況で求めた「PV」(発電量)を2倍とします。
「節電金額」の計算式は、[GTI給電量×デイタイム料金(31.77円)] – [(GTI給電量-PV量)×ナイトタイム料金(10.7円)]。
月100円以上の差が出ました。
月 | 再計算前 | 再計算後 | 差 |
1月 | 892.1円 | 1006.7円 (1日あたり1006.7円÷31日=約32円) | 114.6円 |
2月 | 886.7円 | 1036.0円 (1日あたり1036.0円÷28日=約37円) | 149.3円 |
この再計算により初期費用回収までの期間を計算しなおしてみます。
購入した機器の合計金額が「175,380円」なので、初期費用回収まで少なくとも約174ヶ月(175,380円÷1006.7円)、約14.5年かかる計算になります。
改めて、実績データを元にPVデータのみ発電量復活後のデータをあてはめた仮の算出値です。
さらにシンプルな構成にするには
もっと初期費用を抑えて構築することもできます。それはチャージコントローラーとバッテリーを外してしまってGTIだけの構成にすることです。冒頭の構成概要で紹介した構成図を参考にすると以下のようになります。
チャージコントローラーはあくまでバッテリーへの充電に必要であり、GTIはソーラーパネル直結にしても動作します。むしろこちらが元々の使い方です。
ただし、蓄電能力は無いため夜間に充電というようなピークシフトはできなくなりますし、発電できる状態であっても電力消費が無ければGTIは発電をカットするので、せっかくの発電量を無駄にしてしまう場合があります。
この構成にすると、ソーラーパネルが発電した分だけコンセントに供給することになりますので、発電している時だけ動作するためデジタルタイマーも不要です。節電効果は限定的となりますが、実質、チャージコントローラー、バッテリー(充電器含む)、タイマー×2が購入不要ということで初期費用が大幅に削減されます。
この構成で必要機器を計算すると「79,180円」となるので、当初の初期費用の半額以下で構築できてしまいます。
ソーラーパネルが発電しない時でもGTIの電源自体は入ったままなので、その電源ごと切ってしまいたい場合は、デジタルタイマー1つは必要になります。
まとめ
DIYで構築する太陽光発電いかがだったでしょうか。
業者に依頼して屋根や野立てでソーラーパネルを設置することが一般的ですが、自給や売電収入の効果は高いもののどうしても初期費用が高くなってしまい躊躇してしまうのではないでしょうか。
本記事では初期費用を抑えつつも電気代節約に繋がることを主たる目的として紹介しました。
スペースや予算がある方は、パネル容量を増やしたり、それに伴う各機器の容量も増やしたりなどしてみてもおもしろいと思います。
本記事作成時点では、ピークシフト成功して電気代節約に貢献できていますが、機器購入にかかった初期費用の回収はまだまだ程遠いです。途中で故障したりするかもしれません。
まだまだ検証段階ですが、ピークシフトソーラーで電気代節約への可能性を確認できました。デジタルタイマーや閾値設定で自動化もできたので、続けるにはそんなにハードルは高くなく、たまに挙動を確認するぐらいですのでデータ取得は必要なものの気長に続けていきたいと思います! ٩(ˊωˋ*)و
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません